○熊本大学大学院生命科学研究部等ヒトES細胞使用規則
(平成17年11月14日規則第125号) |
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(趣旨)
第1条 熊本大学大学院生命科学研究部及び発生医学研究所(以下「生命科学研究部等」という。)におけるヒトES細胞の使用に際して遵守すべき技術的及び倫理的事項及びヒトES細胞由来の分化細胞の取扱いについては、ヒトES細胞の使用に関する指針(平成22年文部科学省告示第87号。以下「指針」という。)、熊本大学生命倫理憲章 (平成14年6月20日制定)、熊本大学大学院生命科学研究部生命倫理に関する規則(平成20年6月20日制定)、熊本大学大学院生命科学研究部等ヒトES細胞研究倫理委員会規則(平成20年6月20日制定)等に定めるもののほか、この規則の定めるところによる。
(定義)
第2条 この規則において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。
(1) 胚 ヒトに関するクローン技術等の規制に関する法律(平成12年法律第146号。以下「法」という。)第2条第1項第1号に規定する胚をいう。
(2) ヒト胚 ヒトの胚(ヒトとしての遺伝情報を有する胚を含む。)をいう。
(3) ヒトES細胞 ヒト胚から採取された細胞又は当該細胞の分裂により生ずる細胞であって、胚でないもののうち、多能性(内胚葉、中胚葉及び外胚葉の細胞に分化する性質をいう。)を有し、かつ、自己複製能力を維持しているもの又はそれに類する能力を有することが推定されるものをいう。
(4) 分化細胞 ヒトES細胞が分化することにより、その性質を有しなくなった細胞をいう。
(5) 樹立 特定の性質を有する細胞を作成することをいう。
(6) 樹立機関 ヒトES細胞を樹立する機関をいう。
(7) 分配機関 第三者に分配することを目的として分配をし、及び維持管理をする機関をいう。
(8) 使用計画 使用部局が行うヒトES細胞の使用に関する計画をいう。
(9) 生殖細胞 始原生殖細胞から精子又は卵子に至るまでの細胞をいう。
(10) 第一種樹立 法第2条第1項第6号に規定するヒト受精胚を用いてヒトES細胞を樹立すること(次号に掲げるものを除く。)をいう。
(11) 第二種樹立 法第2条第1項第10号に規定する人クローン胚を作成し、当該人クローン胚を用いてヒトES細胞を樹立することをいう。
(12) 使用部局 使用責任者が所属する生命科学研究部等をいう。
(13) 使用責任者 ヒトES細胞の使用が適切に行われるよう総括する立場にある者をいう。
(14) 研究者 ヒトES細胞を使用する者のうち、使用責任者以外のものをいう。
(使用部局の長)
第3条 使用部局の長は、使用責任者及び研究者(以下「使用責任者等」という。)によるヒトES細胞の使用における総責任者として統括を行う。
2 使用部局の長は、次に掲げる業務を行う。
(1) 使用計画(使用計画の変更を含む。以下同じ。)の妥当性を確認し、その実施を承認すること。
(2) ヒトES細胞の使用の進行状況及び結果を把握し、必要に応じ、使用責任者に対しその留意事項、改善事項等に関して指示を与えること。
(3) ヒトES細胞の使用を監督すること。
(4) 使用部局において指針、本規則等を周知徹底し、これを遵守させること。
(5) ヒトES細胞の使用に関する技術的能力及び倫理的な認識を向上させるための教育及び研修(以下「教育研修」という。)を実施するための計画を策定し、これに基づき教育研修を実施すること。
(使用の要件)
第4条 第一種樹立により得られたヒトES細胞の使用は、次に掲げる要件を満たす場合に限り、行うことができるものとする。
(1) 次のいずれかに資する基礎的研究を目的としていること。
イ ヒトの発生、分化及び再生機能の解明
ロ 新しい診断法、予防法若しくは治療法の開発又は医薬品等の開発
(2) ヒトES細胞を使用することが前号に定める研究において科学的合理性及び必要性を有すること。
2 第二種樹立により得られたヒトES細胞の使用は、次に掲げる要件を満たす場合に限り、行うことができるものとする。
(1) 特定胚の取扱いに関する指針(平成21年文部科学省告示第83号)第9条第2項に規定する基礎的研究を目的としていること。
(2) ヒトES細胞を使用することが前号に定める研究において科学的合理性及び必要性を有すること。
3 使用に供されるヒトES細胞は、次に掲げるものに限るものとする。
(1) ヒトES細胞の樹立及び分配に関する指針(平成21年文部科学省告示第156号)で定める要件を満たして樹立されたヒトES細胞(生殖細胞の作成の用に供される場合には、生殖細胞の作成を行うことについてのインフォームド・コンセントを受けていることその他の同指針で定める要件を満たして樹立されたヒトES細胞)
(2) 外国で樹立されたヒトES細胞で、ヒトES細胞の樹立及び分配に関する指針と同等の基準に基づき樹立されたものと認められるもの(生殖細胞の作成の用に供される場合には、同指針と同等の基準に基づき樹立されたものと認められ、かつ、当該外国における法令又はこれに類するガイドライン及びヒトES細胞の提供に関する条件においてヒトES細胞から生殖細胞の作成を行わないこととされていないもの)
(使用責任者)
第5条 使用責任者は、次に掲げる業務を行う。
(1) ヒトES細胞の使用に関して、内外の入手し得る資料及び情報に基づき、使用計画又はその変更の科学的妥当性及び倫理的妥当性について検討すること。
(2) ヒトES細胞の使用を総括し、及び使用計画を実施する研究者に対し必要な指示を行うこと。
(3) ヒトES細胞の使用が使用計画書に従い適切に実施されていることを随時確認すること。
(4) ヒトES細胞を扱う実験室(以下「実験室」という。)の鍵を管理すること。
(5) ヒトES細胞を凍結保存する細胞保管容器(以下「細胞保管容器」という。)の鍵を管理すること。
(6) ヒトES細胞の使用記録簿(以下「使用記録簿」という。)を作成し、使用の都度、使用責任者等の氏名、日時、操作内容等を記載し、これを保存すること。
(7) ヒトES細胞の保管記録簿(以下「保管記録簿」という。)を作成し、凍結保存チューブごとに、ヒトES細胞の名称、凍結保存を行った使用責任者等の氏名、凍結保存を開始した日時等を記載し、これを保存すること。
(8) 使用記録簿及び保管記録簿の写しを使用部局の長及び熊本大学大学院生命科学研究部等倫理委員会委員長に定期的に報告すること。
(9) 生殖細胞の作成を行う場合には、前号の報告に加え、少なくとも毎年一回、生殖細胞の作成状況を使用部局の長及び熊本大学大学院生命科学研究部等倫理委員会委員長に報告すること。
(10) 研究者に対し、第3条第2項第5号に規定する教育研修に参加するよう命ずるとともに、必要に応じ、その他のヒトES細胞の使用に関する教育研修を実施すること。
(11) 前各号に定めるもののほか、使用計画を総括するに当たり必要となる措置を講ずること。
(行ってはならない行為)
第6条 使用責任者等は、次に掲げる行為を行ってはならない。
(1) ヒトES細胞を使用して作成した胚の人又は動物の胎内への移植その他の方法によりヒトES細胞から個体を生成すること。
(2) ヒト胚へヒトES細胞を導入すること。
(3) ヒトの胎児へヒトES細胞を導入すること。
(4) ヒトES細胞から生殖細胞の作成を行う場合には、当該生殖細胞を用いてヒト胚を作成すること。
(ヒトES細胞の分配等)
第7条 使用部局は、ヒトES細胞の分配又は譲渡をしてはならない。ただし、使用機関において遺伝子導入その他の方法により加工されたヒトES細胞を当該使用部局が分配又は譲渡する場合については、この限りでない。
(技術的遵守事項)
第8条 使用責任者等は、次に掲げる技術的事項を遵守しなければならない。
(1) 使用責任者等は、ヒトES細胞が生殖細胞等に分化できる細胞であるなどの性質に関する認識その他ヒトES細胞の使用に関する十分な専門的知識及び技術的能力を有していること。
(2) 使用責任者は、動物のES細胞を使用する研究に関する十分な実績及び経験があり、かつ、前条各号に規定する業務を的確に実施すること。
(3) 研究者は、動物のES細胞の取扱いに関する経験を有していること。
(4) 実験室は、常時施錠し、原則として使用責任者等以外の者は入室させないこと。ただし、熊本大学大学院生命科学研究部等ヒトES細胞倫理委員会の議を経て、使用部局の長が認めた者は、入室させることができる。
(5) ヒトES細胞の使用に係るインキュベーター、クリーンベンチ、細胞保管容器及び培養に必要な実験機器は、実験室に設置すること。
(6) 細胞保管容器は、常時施錠すること。
(倫理的遵守事項)
第9条 使用責任者等は、次に掲げる倫理的事項を遵守しなければならない。
(1) ヒトES細胞に関し十分な倫理的認識を有し、その倫理的認識を維持できるように努めること。
(2) ヒトES細胞の使用に関し、常に倫理的妥当性を検証すること。
(分化細胞の取扱い等)
第10条 使用部局は、作成した分化細胞を譲渡する場合には、当該分化細胞がヒトES細胞に由来するものであることを譲渡先に通知するものとする。
2 生殖細胞の作成を行う使用部局は、作成した生殖細胞を譲渡する場合には、前項の通知を行うほか、当該生殖細胞の取扱いについて、譲渡先との契約その他の方法において次に掲げる事項が確保されることを確認しなければならない。
(1) 生殖細胞は、次のいずれかに資する基礎的研究に用いられること。
イ ヒトの発生、分化及び再生機能の解明
ロ 新しい診断法、予防法若しくは治療法の開発又は医薬品等の開発
(2) 生殖細胞を用いてヒト胚を作成しないこと。
(3) 生殖細胞を他の機関に譲渡しないこと。
(4) 生殖細胞を譲渡した機関が、前各号に掲げる生殖細胞の取扱いの状況について、必要に応じ、譲渡先から報告を求めることができること。
3 前項の規定に基づき使用部局が生殖細胞を譲渡しようとするときは、当該使用部局の使用責任者は、あらかじめ、当該使用部局の長の了承を求めるものとする。
4 使用部局の長は、前項の了承をするに当たっては、作成した生殖細胞の譲渡が第2項の規定に適合していることを確認するものとする。
(ヒトES細胞の使用の終了)
第11条 使用責任者は、ヒトES細胞の使用を終了したときは、速やかに残余のヒトES細胞を当該ヒトES細胞の分配をした樹立機関若しくは分配機関との合意に基づき廃棄し、又はこれらの機関に返還若しくは譲り渡すものとする。
(ヒトES細胞の使用の終了後における生殖細胞の取扱い)
第12条 作成した生殖細胞をヒトES細胞の使用の終了後に引き続き使用する部局は、使用部局とみなしてこの規則を適用する。この場合において、第4条第2項及び第3項、第5条第8号、第6条第1号から第3号まで、第7条並びに第11条の規定は適用せず、第3条、第4条第1項、第5条及び第8条第1号の規定は、第4条第1項中「第一種樹立により得られたヒトES細胞」とあるのは「ヒトES細胞から作成した生殖細胞」と、第3条、第4条第1項第2号及び第5条中「ヒトES細胞」とあるのは「ヒトES細胞から作成した生殖細胞」と、第3条第2項第5号中「技術的能力及び倫理的な」とあるのは「倫理的な」と、第8条第1号中「十分な専門的知識及び技術的能力」とあるのは「十分な専門的知識」とする。
[第4条第2項] [第3項] [第5条第8号] [第6条第1号] [第3号] [第7条] [第11条] [第3条] [第4条第1項] [第5条] [第8条第1号] [第4条第1項] [第3条] [第4条第1項第2号] [第5条] [第3条第2項第5号] [第8条第1号]
2 前項の規定により使用部局とみなされる部局の使用責任者は、作成した生殖細胞の使用を終了したときは、速やかに、当該生殖細胞を廃棄するものとする。
附 則
この規則は、平成17年11月14日から施行する。
附 則(平成19年7月11日規則第217号)
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この規則は、平成19年8月1日から施行する。
附 則(平成20年6月20日規則第225号)
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この規則は、平成20年7月1日から施行する。
附 則(平成21年3月24日規則第50号)
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この規則は、平成21年4月1日から施行する。
附 則(平成21年12月24日規則第237号)
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この規則は、平成21年12月24日から施行する。
附 則(平成21年12月9日規則第334号)
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この規則は、平成22年1月1日から施行する。
附 則(平成25年2月21日規則第10号)
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この規則は、平成25年2月21日から施行する。