○熊本大学病院が保有する医療情報等の他機関への研究目的での提供に関する規則
(令和5年6月14日規則第153号)
(目的)
第1条
この規則は、熊本大学病院(以下「本院」という。)が保有する患者の医療情報及び職員の健康診断に関する情報又はヒト生体試料及び当該ヒト生体試料に由来する情報(以下「医療情報等」という。)の本院以外の機関(以下「他機関」という。)への研究目的での提供に関し必要な事項を定めることにより、医療情報等の提供者の権利と利益を守り、及び熊本大学(以下「本学」という。)における適切な研究活動を確保し、もって医療情報等の有効活用による学術及び産業の発展等に資することを目的とする。
(定義)
第2条
この規則において「匿名化」とは、個人情報等について、特定の生存する個人又は死者を識別することができることとなる記述等(個人識別符号を含む。)の全部又は一部を削除することにより、特定の個人を識別することができないようにし、及び当該個人情報等を復元することができないようにすることをいう。
(医療情報等の提供に係る申請)
第3条
医療情報等を他機関に提供しようとする本学の研究者は、部局等の責任者(熊本大学における人を対象とする生命科学・医学系研究に関する規則(平成27年11月26日制定。以下「人を対象とする生命科学・医学系研究規則」という。)第2条第2項の部局等の責任者をいう。以下同じ。)に申請するものとする。
ただし、本院における治験の実施の過程で取得された医療情報等を当該治験の依頼者に提供しようとする場合は、病院長に申請するものとする。
2
前項の場合において、医療情報等を他機関に提供しようとする本学の研究者は、事前に、当該医療情報等の取得に寄与した者のすべての確認を得なければならない。
(医療情報等の提供の承認)
第4条
前条第1項の申請を受け付けた部局等の責任者又は病院長は、医療情報等の提供が、次の各号のいずれにも該当する場合は、当該医療情報等の提供を承認することができる。
(1)
次のいずれかに該当すること。
イ
当該医療情報等が、本学と当該医療情報等の提供先との共同研究(学術研究に限る。)のために利用される場合。
ロ
当該医療情報等が、当該医療情報等の提供先での研究(学術研究に限る。)のために利用される場合で、当該提供先が、学術研究機関等(大学その他の学術研究を目的とする機関若しくは団体又はそれらに属する者をいう。)であるとき。
ハ
当該医療情報等が、本学と当該医療情報等の提供先との共同研究(イの共同研究を除く。)又は当該医療情報等の提供先での研究(ロの研究を除く。)のために利用される場合で、当該医療情報等の提供者が、当該医療情報等の他機関への提供に同意しており、当該共同研究又は研究の社会的価値、当該提供先における当該医療情報等の保管、廃棄、二次利用に関する手続き等が許容できるものであるとき。
(2)
当該医療情報等が、倫理委員会(治験の実施の適否を審査する委員会を含む。)による承認を経た研究のために利用されること。
(3)
当該医療情報等の提供が、法令、指針、ガイドライン等又は本学の規則等の規定に反しないこと。
(4)
当該医療情報等が他機関から本院に提供されたものである場合にあっては、他機関への提供が禁止されていないこと。
2
前項の場合において、部局等の責任者又は病院長は、必要に応じて、本学の倫理委員会(人を対象とする生命科学・医学系研究規則第7条第1項の倫理委員会及び熊本大学病院治験審査委員会をいう。)の意見を聴くものとし、及び医療情報等を他機関に提供しようとする本学の研究者に当該医療情報等の提供に係る作業の内容等について、説明を求めるものとする。
(医療情報等の提供者の権利の保護等)
第5条
本学の研究者は、医療情報等の他機関への提供にあたり、適用のある法令、指針、ガイドライン等に則り、当該医療情報等の提供者の権利を保護するものとし、当該医療情報等の提供先に対してもこれを求めるものとする。
2
本学の研究者は、医療情報等の他機関への提供にあたり、当該医療情報等に個人情報が含まれる場合は、匿名化を施すものとする。
ただし、匿名化を施すことにより、当該医療情報等を提供しようとする目的が達成され得ないおそれがある場合は、当該医療情報等を提供しようとする目的の達成を妨げない程度の匿名化にとどめることができる。
(医療情報等の取得等の責任)
第6条
医療情報等の取得に寄与した本学の研究者は、当該医療情報等の取得に係る安全性について、責任を負うものとする。
2
医療情報等を提供しようとする本学の研究者は、当該医療情報等の提供に係る安全性について、責任を負うものとする。
(医療情報等の提供の方法の特例)
第7条
第4条第1項の医療情報等の提供の承認を受けた本学の研究者は、当該医療情報等を提供しようとする目的が当該医療情報等の情報分析等により得られた結果を当該医療情報等の提供を受けようとする者に提供することで達成され得る場合は、当該医療情報等を提供しようとする目的の達成に必要な範囲に限り、当該医療情報等の提供に代えて、当該医療情報等の情報分析等により得られた結果を提供するものとする。
2
第4条第1項の医療情報等の提供の承認を受けた本学の研究者は、当該医療情報等を提供しようとする目的が当該医療情報等の情報分析等により得られた結果を当該医療情報等の提供を受けようとする者に提供することでは達成され得ない場合であって、本学の施設内において当該医療情報等を閲覧させることで達成され得るときは、当該医療情報等の提供に代えて、本学の施設内において当該医療情報等を閲覧させることができる。
(収入の使途)
第8条
医療情報等の提供により本学が収入を得た場合は、学術研究の推進及びそれに伴う社会貢献、医療情報等の提供者の福利、健康等の向上等を行うための費用に充てるものとする。
(遵守義務)
第9条
本学の研究者は、医療情報等の提供にあたり、関係する法令、指針及びガイドライン並びにこの規則、国立大学法人熊本大学個人情報管理規則(平成17年3月24日制定)その他関係規則等を遵守しなければならない。
(雑則)
第10条
この規則に定めるもののほか、医療情報等の他機関への提供に関し必要な事項は、別に定める。
附 則
この規則は、令和5年6月14日から施行する。