○国立大学法人熊本大学懲戒処分の指針
(平成16年4月1日指針第1号)
改正
平成17年3月3日指針第1号
平成18年3月23日指針第1号
平成19年3月26日指針第3号
平成21年6月25日指針第2号
平成27年3月26日指針第2号
平成28年12月22日指針第4号
平成31年3月28日指針第3号
令和4年2月24日指針第1号
令和6年3月28日指針第2号
令和7年3月27日指針第2号
(基本事項)
1 本指針は、国立大学法人熊本大学懲戒規則(平成16年4月1日制定)第7条の規定に基づき、懲戒処分の量定を決定するに当たっての参考に供するため、代表的な事例を選び、それぞれにおける標準的な処分量定を掲げたものである。
具体的な量定の決定に当たっては、
(1) 非違行為の動機、態様及び結果はどのようなものであったか
(2) 故意又は過失の度合いはどの程度であったか
(3) 非違行為を行った職員の職責はどのようなものであったか、その職責は非違行為との関係でどのように評価すべきか
(4) 他の職員及び社会に与える影響はどのようなものであるか
(5) 過去に非違行為を行っているか
等のほか、適宜、日頃の勤務態度や非違行為後の対応等も含め総合的に考慮の上、判断するものとする。
個別の事案の内容によっては、標準例に掲げる処分の種類以外とすることもあり得るところである。例えば、標準例に掲げる処分の種類より重いものとすることが考えられる場合として、
(1) 非違行為の動機若しくは態様が極めて悪質であるとき又は非違行為の結果が極めて重大であるとき
(2) 非違行為を行った職員が管理又は監督の地位にあるなどその職責が特に高いとき
(3) 非違行為の業務内外に及ぼす影響が特に大きいとき
(4) 過去に類似の非違行為を行ったことを理由として懲戒処分を受けたことがあるとき
(5)  処分の対象となり得る複数の異なる非違行為を行っていたとき
がある。また、例えば、標準例に掲げる処分の種類より軽いものとすることが考えられる場合として、
(1)  職員が自らの非違行為が発覚する前に自主的に申し出たとき
(2)  非違行為を行うに至った経緯その他の情状に特に酌量すべきものがあると認められるとき
がある。
なお、標準例に掲げられていない非違行為についても、懲戒処分の対象となり得るものであり、これらについては、標準例に掲げる取扱いを参考としつつ判断する。
(標準例)
2 一般服務関係
(1) 欠勤
ア 正当な理由なく10日以内の間勤務を欠いた職員は、減給又は戒告とする。
イ 正当な理由なく11日以上20日以内の間勤務を欠いた職員は、停職又は減給とする。
ウ 正当な理由なく21日以上の間勤務を欠いた職員は、懲戒解雇、諭旨解雇又は停職とする。
(2) 遅刻・早退
勤務時間の始め又は終わりに繰り返し勤務を欠いた職員は、戒告とする。
(3) 休暇の虚偽申請
病気有給休暇又は特別有給休暇等年次有給休暇以外の休暇について虚偽の申請をした職員は、減給又は戒告とする。
(4) 勤務態度不良
勤務時間中に職場を離脱して職務を怠り、業務の運営に支障を生じさせた職員は、減給又は戒告とする。
(5) 職場内秩序を乱す行為
ア 他の職員に対する暴行により職場の秩序を乱した職員は、停職又は減給とする。
イ 他の職員に対する暴言により職場の秩序を乱した職員は、減給又は戒告とする。
(6) 虚偽報告
事実をねつ造して虚偽の報告を行った職員は、減給又は戒告とする。
(7) 秘密漏えい
ア 職務上知ることのできた秘密を故意に漏らし、業務の運営に重大な支障を生じさせた職員は、懲戒解雇、諭旨解雇又は停職とする。この場合において、自己の不正な利益を図る目的で秘密を漏らした職員は、懲戒解雇とする。
イ 具体的に命令され、又は注意喚起された情報セキュリティ対策を怠ったことにより、職務上の秘密が漏えいし、業務の運営に重大な支障を生じさせた職員は、停職、減給又は戒告とする。
(8) 兼業の承認を得る手続のけ怠
営利企業の役員等の職を兼ね、若しくは自ら営利企業を営むことの承認を得る手続又は報酬を得て、営利企業以外の事業の団体の役員等を兼ね、その他事業若しくは事務に従事することの承認を得る手続を怠り、これらの兼業を行った職員は、減給又は戒告とする。
(9) 入札談合等に関与する行為
国立大学法人熊本大学(以下「本学」という。)が入札等により行う契約の締結に関し、その職務に反し、事業者その他の者に談合を唆すこと、事業者その他の者に予定価格等の入札等に関する秘密を教示すること又はその他の方法により、当該入札等の公正を害すべき行為を行った職員は、懲戒解雇、諭旨解雇又は停職とする。
(10) 個人の秘密情報の目的外収集
その職権を濫用して、専らその職務の用以外の用に供する目的で個人の秘密に属する事項が記録された文書、図画又は電磁的記録を収集した職員は、減給又は戒告とする。
(11) ハラスメント(セクシュアル・ハラスメントを除く。)
熊本大学ハラスメントの防止等に関する規則(平成18年3月23日制定)第2条第1項各号に定めるハラスメントを行った職員は、懲戒解雇、諭旨解雇、停職、減給又は戒告とする。
(12) セクシュアル・ハラスメント
ア 相手の意に反するわいせつな言辞、性的な内容の電話、性的な内容の手紙・電子メールの送付、身体的接触、つきまとい等の性的な言動(以下「わいせつな言辞等の性的な言動」という。)を繰り返した職員は、停職又は減給とする。この場合において、わいせつな言辞等の性的な言動を繰り返したことにより相手が心的ストレスの重積による精神疾患に罹患したときは、当該職員は懲戒解雇、諭旨解雇又は停職とする。
イ 相手の意に反するわいせつな言辞等の性的な言動を行った職員は、減給又は戒告とする。
(注)処分を行うに際しては、具体的な行為の態様、悪質性等も情状として考慮の上判断するものとする。
(13) 性暴力等     
暴行、脅迫等を用いてわいせつな行為をし、又は修学、就労、教育及び研究上の地位や人間関係等の優位性に基づく影響力を用いることにより強いて性的関係を結び若しくはわいせつな行為をした職員は、懲戒解雇、諭旨解雇又は停職とする。
(注)処分を行うに際しては、具体的な行為の態様、悪質性等も情状として考慮の上判断するものとする。
(14) 研究不正
国立大学法人熊本大学における研究不正の防止等に関する規則(平成27年3月26日制定)第2条第1号に定める研究不正を行った職員は、懲戒解雇、諭旨解雇、停職、減給又は戒告とする。
(15) 文書の不適正な取扱い
ア 文書を偽造し、若しくは変造し、若しくは虚偽の文書を作成し、又は文書を毀棄した職員は、懲戒解雇、諭旨解雇又は停職とする。
イ 決裁文書を改ざんした職員は、懲戒解雇、諭旨解雇又は停職とする。
ウ 文書を改ざんし、紛失し、又は誤って廃棄し、その他不適正に取り扱ったことにより、業務の運営に重大な支障を生じさせた職員は、停職、減給又は戒告とする。
3 本学所有の財物取扱い関係
(1) 横領
本学所有の財物を横領した職員は、懲戒解雇とする。
(2) 窃取
本学所有の財物を窃取した職員は、懲戒解雇とする。
(3) 詐取
人を欺いて本学所有の財物を交付させた職員は、懲戒解雇とする。
(4) 紛失
本学所有の財物を紛失した職員は、戒告とする。
(5) 盗難
重大な過失により本学所有の財物の盗難に遭った職員は、戒告とする。
(6) 本学所有の財物損壊
故意に職場において本学所有の財物を損壊した職員は、減給又は戒告とする。
(7) 失火・爆発
過失により職場において本学所有の財物の出火又は爆発を引き起こした職員は、停職、減給又は戒告とする。
(8) 諸給与の規則違反支払・不適正受給
故意に国立大学法人熊本大学職員給与規則等に違反して諸給与を不正に支給した職員及び故意に届出を怠り、又は虚偽の届出をするなどして諸給与を不正に受給した職員は、減給又は戒告とする。
(9) 本学所有の財物処理不適正
自己保管中の本学所有の財物の流用等不適正な処理をした職員は、減給又は戒告とする。
(10) コンピュータの不適正使用
職場のコンピュータをその職務に関連しない不適正な目的で使用し、業務の運営に支障を生じさせた職員は、減給又は戒告とする。
4 業務外非行関係
(1) 放火
放火をした職員は、懲戒解雇とする。
(2) 殺人
人を殺した職員は、懲戒解雇とする。
(3) 傷害
人の身体を傷害した職員は、停職又は減給とする。
(4) 暴行・けんか
暴行を加え、又はけんかをした職員が人を傷害するに至らなかったときは、減給又は戒告とする。
(5) 器物損壊
故意に他人の物を損壊した職員は、減給又は戒告とする。
(6) 横領
ア 自己の占有する他人の財物(本学所有の財物を除く。)を横領した職員は、懲戒解雇、諭旨解雇又は停職とする。
イ 遺失物、漂流物その他占有を離れた他人の物を横領した職員は、減給又は戒告とする。
(7) 窃盗・強盗
ア 他人の財物を窃取した職員は、懲戒解雇、諭旨解雇又は停職とする。
イ 暴行又は脅迫を用いて他人の財物を強取した職員は、懲戒解雇とする。
(8) 詐欺・恐喝
人を欺いて財物を交付させ、又は人を恐喝して財物を交付させた職員は、懲戒解雇、諭旨解雇又は停職とする。
(9) 賭博
ア 賭博をした職員は、減給又は戒告とする。
イ 常習として賭博をした職員は、停職とする。
(10) 麻薬等の所持等
麻薬、大麻、あへん、覚醒剤、危険ドラッグ等の所持、使用、譲渡等をした職員は、懲戒解雇とする。
(11) 酩酊による粗野な言動等
酩酊して、公共の場所や乗物において、公衆に迷惑をかけるような著しく粗野又は乱暴な言動をした職員は、減給又は戒告とする。
(12) 淫行
18歳未満の者に対して、金品その他財産上の利益を対償として供与し、又は供与することを約束して淫行をした職員は、懲戒解雇、諭旨解雇又は停職とする。
(13) 痴漢行為
公共の乗物等において痴漢行為をした職員は、停職又は減給とする。
(14) 盗撮行為
公共の場所若しくは乗物において他人の通常衣服で隠されている下着若しくは身体の盗撮行為をし、又は通常衣服の全部若しくは一部を着けていない状態となる場所における他人の姿態の盗撮行為をした職員は、停職又は減給とする。
5 飲酒運転・交通事故・交通法規違反関係
(1) 飲酒運転
ア 酒酔い運転で人を死亡させ、又は重篤な傷害を負わせた職員は、懲戒解雇とする。
イ 酒酔い運転で人に傷害を負わせた職員は、懲戒解雇、諭旨解雇又は停職とする。この場合において、事故後の救護を怠る等の措置義務違反をした職員は、懲戒解雇とする。
ウ 酒気帯び運転で人を死亡させ、又は重篤な傷害を負わせた職員は、懲戒解雇、諭旨解雇又は停職とする。この場合において、措置義務違反をした職員は、懲戒解雇とする。
エ 酒気帯び運転で人に傷害を負わせた職員は、懲戒解雇、諭旨解雇、停職又は減給とする。この場合において、措置義務違反をした職員は、懲戒解雇、諭旨解雇又は停職とする。
オ 酒酔い運転をした職員は、懲戒解雇、諭旨解雇、停職又は減給とする。この場合において、物の損壊に係る交通事故を起こしてその後の危険防止を怠る等の措置義務違反をした職員は、懲戒解雇、諭旨解雇又は停職とする。
カ 酒気帯び運転をした職員は、懲戒解雇、諭旨解雇、停職、減給又は戒告とする。この場合において、物の損壊に係る交通事故を起こして措置義務違反をした職員は、懲戒解雇、諭旨解雇、停職又は減給とする。
キ 飲酒運転をした職員に対し、車両若しくは酒類を提供し、若しくは飲酒をすすめた職員又は職員の飲酒を知りながら当該職員が運転する車両に同乗した職員は、飲酒運転をした職員に対する処分量定、当該飲酒運転への関与の程度等を考慮して、懲戒解雇、諭旨解雇、停職、減給又は戒告とする。
(2) 飲酒運転以外での交通事故(人身事故を伴うもの)
ア 人を死亡させ、又は重篤な傷害を負わせた職員は、懲戒解雇、諭旨解雇、停職又は減給とする。この場合において、措置義務違反をした職員は、懲戒解雇、諭旨解雇又は停職とする。
イ 人に傷害を負わせた職員は、減給又は戒告とする。この場合において、措置義務違反をした職員は、停職又は減給とする。
(3) 飲酒運転以外の交通法規違反
  著しい速度超過等の悪質な交通法規違反をした職員は、停職、減給又は戒告とする。この場合において、物の損壊に係る交通事故を起こして措置義務違反をした職員は、停職又は減給とする。
(注)処分を行うに際しては、過失の程度や事故後の対応等も情状として考慮の上、判断するものとする。
6 児童生徒等に対する非違行為関係
(1) 体罰等
ア 体罰により乳児(満1歳に満たない者をいう。)、幼児(満1歳から、小学校就学の始期に達するまでの者をいう。)、児童及び生徒(以下「児童生徒等」という。)を死亡させ、又は児童生徒等に重篤な傷害を負わせた職員は、懲戒解雇、諭旨解雇又は停職とする。
イ 体罰により児童生徒等に傷害を負わせた職員は、停職、減給又は戒告とする。この場合において、体罰を常習的に行っていた職員、体罰の態様が特に悪質な職員、体罰を行った事実を隠蔽した職員又は特別な支援を要する児童生徒等に体罰を行った職員は、懲戒解雇、諭旨解雇又は停職とする。
ウ 児童生徒等に体罰を行った職員は、減給又は戒告とする。この場合において、体罰を常習的に行っていた職員、体罰の態様が特に悪質な職員、体罰を行った事実を隠蔽した職員又は特別な支援を要する児童生徒等に体罰を行った職員は、停職又は減給とする。
エ 児童生徒等に、罰を加える目的で、精神的な苦痛又は不快感を与える言動を行った職員は、アからウまでの規定に準じて処分を行う。
(2) わいせつな行為等
ア 児童生徒等に法律、条例等に違反するわいせつな行為を行った職員は、懲戒解雇とする。
イ 児童生徒等にアのわいせつな行為以外のわいせつな行為又はわいせつな言辞等の性的な言動を行った職員は、懲戒解雇、諭旨解雇、停職又は減給とする。
(注) 処分を行うに際しては、職員の地位、関与の程度、具体的な行為の態様、児童生徒等の怪我や被害状況等も情状として考慮の上判断するものとする。
7 監督責任関係
(1) 指導監督不適正
部下職員が懲戒処分を受ける等した場合で、管理監督者として指導監督に適正を欠いていた職員は、減給又は戒告とする。
(2) 非行の隠ぺい、黙認
部下職員の非違行為を知得したにもかかわらず、その事実を隠ぺいし、又は黙認した職員は、停職又は減給とする。
附 則
この指針は、平成16年4月1日から施行する。
附 則(平成17年3月3日指針第1号)
この指針は、平成17年3月3日から施行する。
附 則(平成18年3月23日指針第1号)
この指針は、平成18年4月1日から施行する。
附 則(平成19年3月26日指針第3号)
この指針は、平成19年4月1日から施行する。
附 則(平成21年6月25日指針第2号)
この指針は、平成21年7月1日から施行する。
附 則(平成27年3月26日指針第2号)
この指針は、平成27年4月1日から施行する。
附 則(平成28年12月22日指針第4号)
この指針は、平成29年1月1日から施行する。
附 則(平成31年3月28日指針第3号)
この指針は、平成31年4月1日から施行する。
附 則(令和4年2月24日指針第1号)
この指針は、令和4年3月1日から施行する。
附 則(令和6年3月28日指針第2号)
この指針は、令和6年4月1日から施行する。
附 則(令和7年3月27日指針第2号)
この指針は、令和7年4月1日から施行する。