○熊本大学病原体等安全管理規則
(平成30年3月22日規則第82号)
改正
平成31年3月28日規則第49号
令和2年3月31日規則第143号
令和3年3月24日規則第41号
令和4年5月26日規則第116号
令和6年3月27日規則第75号
第1章 総則
(目的)
第1条 この規則は、感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律(平成10年法律第114号。以下「感染症法」という。)、同施行規則(平成10年12月28日厚生省令第99号)、その他関係法令(以下総称して「感染症法等」という。)に基づき、熊本大学(以下「本学」という。)において取り扱う病原体等の安全管理に関し必要な事項を定め、事故の未然防止を図ることを目的とする。
(定義)
第2条 この規則において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
(1) 病原体等 ウイルス、細菌、真菌、寄生虫、プリオン及びこれらの微生物の産出する毒素で、人体に危害を及ぼす要因となるものをいう。
(2) 特定病原体等 感染症法で規定する一種病原体等、二種病原体等、三種病原体等及び四種病原体等をいう。
(3) バイオセーフティレベル(以下「BSL」という。) 病原体等の人体に対する危険の度合いを危険度の低いものから順に、BSL1からBSL4までの4段階に区分して示すものをいう。
(4) 安全管理 病原体等への曝露等を予防すること(バイオセーフティ)及び病原体等の紛失、盗難、濫用・悪用等を防止すること(バイオセキュリティ)をいう。
(5) 指定実験室 実験室、検査室等(以下「実験室等」という。)のうちBSL3の病原体等又は特定病原体等を取り扱う実験室等をいう。
(6) 管理区域 安全管理に必要な指定実験室その他の室を含む特定の区域をいう。
(7) 部局等 熊本大学学則(平成16年4月1日制定)第1章第2節に定める教育研究組織等のうち、病原体等の取扱いを行う組織をいう。
(学長及び部局等の長の責務)
第3条 学長は、感染症法等に基づき、本学における病原体等の取扱い及びその安全管理に関する業務を総括する。
2 部局等の長は、当該部局等における病原体等の取扱い及びその安全管理に関する業務を掌理し、感染症等に基づき、安全管理に関し必要な措置を講じなければならない。
第2章 熊本大学病原体等安全管理委員会
(委員会)
第4条 本学に、熊本大学病原体等安全管理委員会(以下「安全管理委員会」という。)を置く。
(組織)
第5条 安全管理委員会は、次に掲げる委員をもって組織する。
(1) 病原体等に関する研究者である教授、准教授又は講師のうちから選ばれた者 若干人
(2) 前号以外の生命科学系の教授、准教授又は講師のうちから選ばれた者 1人
(3) 熊本大学遺伝子組換え生物等第二種使用等安全委員会から選ばれた者 1人
(4) 熊本大学動物実験委員会から選ばれた者 1人
(5) その他学長が必要と認める者
2 前項各号の委員は、学長が委嘱する。
3 第1項各号の委員の任期は2年とし、再任を妨げない。
4 第1項各号の委員に欠員が生じた場合の補欠の委員の任期は、前任者の残任期間とする。
(任務)
第6条 安全管理委員会は、学長の諮問に応じ、次に掲げる事項について調査審議する。
(1) BSL2及びBSL3の病原体等を取り扱う実験室等の設置及び変更に関すること。
(2) 病原体等を取り扱う実験計画の感染症法等及びこの規則への適合性に関すること。
(3) 病原体等の取扱いに係る教育訓練及び健康管理に関すること。
(4) 病原体等の取扱いに係る緊急事態発生時に必要な処置及び改善策に関すること。
(5) 病原体等を取り扱う実験に関する規則、マニュアル等の立案に関すること。
(6) その他病原体等の取扱い及びその安全管理に関し必要な事項
2 安全管理委員会は、必要に応じ、第12条に定める管理責任者及び第13条に定める実験従事者に病原体等の安全管理に関する報告を求めることができる。
(委員長)
第7条 安全管理委員会に、委員長を置き、委員の互選により定める。
2 委員長は、安全管理委員会を招集し、その議長となる。
3 委員長に事故があるときは、委員長があらかじめ指名する委員がその職務を代行する。
4 委員の改選後、委員長が選定されるまでの間は、前委員長又は前委員長があらかじめ指名する前委員(第5条第1項第1号の委員に限る。)が委員長の職務を代行する。
(議事)
第8条 安全管理委員会は、委員の過半数が出席しなければ、議事を開き、議決することができない。
2 安全管理委員会の議事は、出席した委員の3分の2以上をもって決する。
(意見の聴取)
第9条 委員長は、必要があるときは、委員以外の者を安全管理委員会に出席させ、意見を聴くことができる。
(事務)
第10条 安全管理委員会の事務は、生命科学系事務部医薬保健学系事務課において処理する。
第3章 取扱主任者、管理責任者及び実験従事者
(取扱主任者)
第11条 本学に、病原体等の取扱い及びその安全管理について学長を補佐するため、病原体等取扱主任者(以下「取扱主任者」という。)を置き、安全管理委員会の委員長をもって充てる。
2 学長は、取扱主任者が疾病その他事故によりその職務を行うことができない場合には、代理者を選任しその職務を代行させるものとする。
3 取扱主任者は、感染症の発生の予防及びまん延の防止について監督し、立入検査等への立会い及び教職員等への安全管理に関する指導助言等その職務を遂行し、感染症法に基づく命令又はこの規則の遵守を促すための指示を行わなければならない。
4 取扱主任者は、その職務を行うに当たり、安全管理委員会と十分連絡をとるものとする。
(管理責任者)
第12条 BSL2及びBSL3の病原体等を取り扱う実験計画ごとに、管理責任者を置く。
2 管理責任者は、感染症法等及びこの規則を熟知するとともに、生物災害の発生を防止するための知識及び技術並びにこれらを含む関連の知識及び技術に習熟した者でなければならない。
3 管理責任者は、実験計画の遂行について責任を負い、取扱主任者との緊密な連絡の下に、次に掲げる職務を行う。
(1) 実験計画の立案及び実験に関して、感染症法等及びこの規則を遵守し、適切な管理及び監督に当たること。
(2) 実験従事者に対し第24条に定める教育訓練及び指導を行うこと。
(3) 実験室等の維持管理等及び病原体等の取扱い等を適切に行うこと。
(4) その他実験の安全管理に関し必要な事項を実施すること。
(実験従事者)
第13条 BSL2及びBSL3の病原体等を取り扱う実験計画に従事する者(以下「実験従事者」という。)は、実験の計画及び実施に当たっては、安全管理について十分に自覚し、必要な配慮をするとともに、あらかじめ、病原体等に係る標準的な実験方法並びに実験に特有な操作方法及び関連する実験方法に精通し、習熟していなければならない。
2 実験従事者は、第24条に定める教育訓練及び第25条に定める健康診断を受けなければならない。
第4章 安全管理基準
(分類)
第14条 特定病原体等の分類については、感染症法等の定めるところによる。
2 病原体等のBSL分類については、安全管理委員会が別に定めるところによる。
(実験室等の安全設備基準等)
第15条 管理責任者は、実験室等及び設備の整備状況に常に留意し、BSL2及びBSL3の病原体等を取り扱う実験室等については、熊本大学における施設の位置、構造及び設備の技術上の基準一覧(別表第1)を満たし、かつ熊本大学における病原体等の保管等の技術上の基準一覧(別表第2)に従って運営しなければならない。
第5章 実験の実施に係る手続及び審査等
(取扱実験室等の設置手続)
第16条 管理責任者は、BSL2の病原体等(特定病原体等を除く。以下同じ。)を取り扱う実験室等(以下「BSL2病原体取扱実験室等」という。)を設置しようとするときは、BSL2病原体取扱実験室等設置(新規・変更)届(別記様式第1)により、部局等の長を経て、学長に届け出なければならない。当該BSL2病原体取扱実験室等を変更しようとするときも同様とする。
2 管理責任者は、指定実験室を設置しようとするときは、BSL3病原体等又は特定病原体等取扱実験室等設置(新規・変更)申請書(別記様式第2)により、部局等の長を経て、学長に申請し、その承認を受けなければならない。当該指定実験室を変更しようとするときも同様とする。
3 学長は、前項の申請があったときは、安全管理委員会に諮問し、安全管理委員会の調査及び審議を経て、当該申請の可否を決定する。
4 管理責任者は、BSL2病原体取扱実験室等及び指定実験室を廃止するときは、病原体等取扱実験室等廃止届(別記様式第3)により、部局等の長を経て、学長に届け出なければならない。
5 第1項及び前項の届出に当たっては、あらかじめ安全管理委員会委員長の承認を得るものとする。
(病原体等の取扱い、譲渡及び廃棄手続)
第17条 本学では、BSL4の病原体等又は一種病原体等の取扱いはできないものとする。
2 管理責任者は、BSL2の病原体等を新たに保管し、実験を行おうとするときは、あらかじめBSL2病原体等使用実験計画(変更)届(別記様式第4)により、部局等の長を経て、学長に届け出なければならない。当該実験計画を変更しようとするときも同様とする。
3 前項の規定にかかわらず、次の各号のいずれかに該当するときは、届け出は不要とする。
(1) 次項の規定により保管し、実験を行うことを承認されたBSL3の病原体等が、病原体等のBSL分類の変更により、BSL2の病原体等となった場合
(2) 次項の規定により保管し、実験を行うことを承認された特定病原体等のうちBSL2であるものが、特定病原体等の分類の変更により、特定病原体等でなくなった場合
4 管理責任者は、BSL3の病原体等又は特定病原体等を新たに保管し、実験を行おうとするときは、あらかじめBSL3病原体等又は特定病原体等使用実験計画(変更)申請書(別記様式第5)により、部局等の長を経て、学長に申請し、その承認を受けなければならない。当該実験計画を変更しようとするときも同様とする。
5 管理責任者は、BSL3の病原体等又は特定病原体等を本学以外の機関又は学内他部局等(以下「他機関等」という。)から受け入れようとするときは、あらかじめBSL3病原体等又は特定病原体等受入申請書(別記様式第6)により、部局等の長を経て、学長に申請し、その承認を受けなければならない。
6 管理責任者は、BSL3の病原体等又は特定病原体等を他機関等へ譲渡しようとするときは、あらかじめBSL3病原体等又は特定病原体等譲渡申請書(別記様式第7)により、部局等の長を経て、学長に申請し、その承認を受けなければならない。
7 管理責任者は、BSL2及びBSL3の病原体等を廃棄するときは、あらかじめ病原体等廃棄届(別記様式第8)により、部局等の長を経て、学長に届け出なければならない。
8 第2項から前項までにおける学長への申請又は届出にあって、二種病原体等又は三種病原体等に係るものについては、感染症法等に基づき必要書類を添付するものとする。
9 学長は、第4項から第6項までの申請があったときは、安全管理委員会に諮問し、安全管理委員会の調査及び審議を経て、当該申請の可否を決定する。
10 第2項及び第7項の届出については、安全管理委員会委員長の承認を得るものとする。
11 学長は、第7項の届出及び第9項の決定に基づき、感染症法等に定めるところにより事務手続きを遅滞なく行わなければならない。
(特定病原体等の運搬)
第18条 特定病原体等の運搬については、感染症法等に基づく運搬の基準、特定病原体等の運搬に係る容器等に関する基準及び厚生労働省が定める特定病原体等の安全運搬マニュアルに従わなければならない。
第6章 実験の安全管理等
(立入制限)
第19条 管理区域には、BSL3病原体等又は特定病原体等使用実験計画(変更)申請書で届け出又は承認された管理責任者及び実験従事者以外の者は、入室することはできない。
2 前項の規定にかかわらず、管理責任者は、取扱主任者の同意を得て、自らの指導の下に見学者又は指定実験室の保守点検を行う者に管理区域への一時的な立入りを許可することができる。
3 管理責任者は、必要と認めたときは、管理区域への立入りを制限することができる。
(管理区域の表示)
第20条 管理区域の出入口に、厚生労働大臣が指定する国際バイオハザード標識(別記様式第9)を表示しなければならない。
(病原体等の処置)
第21条 病原体等及びこれらに汚染されたと思われる物品及び排水の廃棄にあたっては、感染症法等の規定に基づく方法に従い処置しなければならない。
(記帳及び保存)
第22条 管理責任者は、BSL2及びBSL3の病原体等に係る帳簿を備え、次に掲げる事項を記帳しなければならない。
(1) 病原体等の保管、使用及び滅菌等
(2) 実験室の入退室
(3) 施設の点検
(4) 教育訓練の実施
2 管理責任者は、1年ごとに前項の帳簿を閉鎖し、閉鎖後5年間保存しなければならない。
3 管理責任者は、取扱主任者又は安全管理委員会の求めに応じて提示するものとする。
(情報管理)
第23条 取扱主任者、管理責任者及び実験従事者は、病原体等の取り扱いに係る情報セキュリティ管理に努め、安全管理委員会の事務を行う生命科学系事務部医薬保健学系事務課は、提出された病原体等の情報セキュリティ管理を適切に行わなければならない。
第7章 教育訓練及び健康管理
(教育訓練)
第24条 管理責任者は、実験開始前に実験従事者に対し、次の事項に関する教育訓練を行わなければならない。
(1) 危険度に応じた病原体等の安全な取扱い及び管理に関すること。
(2) 感染症法等及びこの規則に関すること。
(3) 事故発生の場合の措置に関すること。
(4) その他安全管理に関して必要な事項
2 前項の教育訓練のうち、実験に必要な基本的事項に関するものについては、安全管理委員会が行うこととする。
3 二種病原体等を取り扱う管理責任者及び実験従事者であって、管理区域に立ち入るものは、1年を超えない期間ごとに前項の教育訓練を受講しなければならない。
4 安全管理委員会は、BSL3病原体等又は特定病原体等使用実験計画(変更)申請書の審議に際し、第2項の教育訓練の受講状況等を確認し、必要に応じて適切な指導を行わなければならない。
(健康管理)
第25条 部局等の長は、実験従事者の健康管理を図るため、実験従事者に、実験開始前及び実験開始後1年を超えない期間ごとに健康診断を受けさせなければならない。ただし、当該健康診断は、定期健康診断をもって代えることができる。
2 部局等の長は、実験従事者のうち、必要に応じてワクチン接種等の措置を行うものとする。
3 部局等の長は、必要に応じて実験従事者に対して臨時の健康診断を受けさせなければならない。
4 部局等の長は、健康診断の結果、受診者が病原体等により感染した疑いがあると診断されたときは、直ちに適切な措置を講じ、学長に報告しなければならない。
5 部局等の長は、健康診断の結果について、当該受診者の当該結果の記録を作成しなければならない。
6 前項の記録は、受診後、原則として5年間(受診者の異動又は退職(学生にあっては、卒業、修了又は退学)後の期間も含む。)保存しなければならない。
(病気等の届出等)
第26条 管理責任者又は実験従事者は、次条に該当しない場合においても、病原体等による感染が疑われる場合は、直ちに管理責任者及び部局等の長にその旨を届け出なければならない。
2 部局等の長は、前項の届出を受けたときは、安全管理委員会に届け出るとともに、その指示に従って、直ちに病原体等による感染の有無について詳細な調査をしなければならない。
3 部局等の長は、前項の調査の結果、病原体等に感染したと認められる場合又は医学的に不明瞭である場合は、直ちに学長に報告しなければならない。
4 学長は、前項の報告を受けた場合、直ちに適切な措置を講じなければならない。
第8章 緊急事態発生時の措置
(感染等の恐れがある場合の対応)
第27条 部局等の長は、実験従事者が次の各号のいずれかに該当する場合又は同様の報告を受けた場合は、管理責任者とともに調査の上、必要な措置を講じ、学長に報告しなければならない。
(1) 誤飲、吸い込み、外傷部又は粘膜での接触等による病原体等の感染の恐れがある場合
(2) 管理区域内の安全設備の機能に重大な異常が発見された場合
(3) 病原体等により、実験室等が広範に汚染された場合
(4) 第25条に規定する健康診断の結果、病原体等によると疑われる健康障害が認められた場合
(緊急事態発生時の措置)
第28条 病原体等が紛失した場合、又は実験室等において火災その他の災害が発生し、若しくは発生するおそれがある場合には、発見者は直ちに管理責任者に通報しなければならない。
2 管理責任者は、前項の通報を受けたときは、その災害を防止するため、直ちに必要な措置を講じ、速やかに部局等の長へ通報するとともに、安全管理委員会委員長及び取扱主任者に通報しなければならない。
3 前項の通報を受けた部局等の長は、安全管理委員会及び取扱主任者と連携し、直ちに必要な措置を講ずるとともに、速やかに緊急事態発生の状況及び応急措置の概要等について、学長に報告しなければならない。
4 前項の通報を受けた学長は、直ちに必要な措置を講ずるとともに、速やかに緊急事態発生の状況及び応急措置の概要等について文部科学大臣及び厚生労働大臣に報告しなければならない。
第9章 雑則
(雑則)
第29条 この規則の実施に関し必要な事項は、別に定める。
附 則
この規則は、平成30年4月1日から施行する。
附 則(平成31年3月28日規則第49号)
この規則は、平成31年4月1日から施行する。
附 則(令和2年3月31日規則第143号)
この規則は、令和2年4月1日から施行する。
附 則(令和3年3月24日規則第41号)
この規則は、令和3年4月1日から施行する。
附 則(令和4年5月26日規則第116号)
この規則は、令和4年6月1日から施行する。
附 則(令和6年3月27日規則第75号)
この規則は、令和6年4月1日から施行する。
別表第1(第15条関係)

別表第2(第15条関係)

別記様式第1(第16条関係)

別記様式第2(第16条関係)

別記様式第3(第16条関係)

別記様式第4(第17条関係)

別記様式第5(第17条関係)

別記様式第6(第17条関係)

別記様式第7(第17条関係)

別記様式第8(第17条関係)

別記様式第9(第20条関係)